なんて素敵な夜だろう【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

ときどき、MVを撮るのを手伝ってほしいと声をかけられる。こんなありがたいことはない。「監督」なんて肩書もいただいて、コメントも書いてほしいと言ってもらえた。これは詐欺にあっているかもしれない。もしそうなら早めに教えてほしい。切実に。

 

――仕事を終えて家に帰ってきたらギターを動かした跡があった。ごみ箱にはイチゴサンドの包みが捨ててある。いつもはぐちゃぐちゃになったままの布団もきれいにそろえてある。きっと窓も開けたんだろう。タバコの煙が染みついた部屋の空気が今日はどこか軽い気がする。カーディガンを羽織るとあの子の匂いがかすかに残っている。申し訳ない気持ちと、妙な優越感や恍惚感がないまぜになったまま、ひょっとするとあの子の体温もまだ残っているかもしれないと期待して布団に潜り込む。

 

「なんて素敵な夜だろう」の曲中に出てくる「あなた」はきっとそんなことを考えているんだろうと思った。そう来るなら「あなた」の言い分はこうだというのが撮りたかった。

 

こういうのが撮れたらいいなと思っていたものより何倍も良い画を撮ってくれたカメラマンのジーマと、朝から長い時間部屋を貸してくれた清ちゃん、ありがとうございました。そしてMVを撮るのを手伝ってほしいと言ってくれたあっけ、本当にありがとうございます。この「なんて素敵な夜だろう」のMVに関われたことが幸せです。

 

あっけの楽曲についてはどなたか僕なんかよりもっと声の大きい人が語ってください。そして、あっけをどこか高い場所まで押し上げてください。僕が手伝えるのはここまで。

 

カジワラコウジ